第17章 始まりの一歩
を抱えたダンデの横に、ルリナとヤローが付き添うようにスタジアムに向かった。その後をキバナについて行こうとすると、カブがキバナに声をかけた。
「キバナ君、ちょっといいかな」
「何、カブさん」
カブはキバナにだけ聞こえる声で話し出した。
「ダンデから目を離さないようにお願いします。きっと今、必死に自分を押さえているはずです----特に心を寄せている女性から、あのようなことをされて、心中穏やかじゃないと思うんだ」
「…だから、体のデカいオレさまとヤローを選んだってことか」
「大丈夫だと思うけど、念の為です。彼も男だから」
「…いや、いい判断だと思うぜ、カブさん」
城で襲われたを抱えているダンデの様子は、明らかにおかしかった。
(今思えば、出会った時からに興味すげー持ってたし、城でが襲われて自覚したっぽいし…いや、とのバトルは純粋にしたかったと思う……)
キバナは大きなため息をついた。
「が起きたら、どうすっかだな」
「うん、眠っているけど心配だ」
「頼んだよ」と、カブに言われ、キバナは「任せといてくれ」と、応えた。駆け足でダンデたちの元へ行く途中、インゴとエメットがまだ地面に座り込んでいるのを見かけた。
(…そういえばコイツら盛大に振られたんだな)
特にインゴはからエグい言葉を送られている。関心すら向けられず、目の前で違う男にときめいている様子も見せられ、一体この男の心境はどうなのだろう----と、そこまでキバナは考えて、辞めた。
(自業自得ってやつだな)
哀れみの目を向けたが、カブにダンデを見張るよう言われた手前、キバナは歩みを止めることなく突き進んだ。