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【剣盾】君を待つ

第17章 始まりの一歩


 現場に残ったカブ、メロン、ネズは、未だ気を失っているエメットとアーケオス、そして呆然と座り込んでいるインゴの後処理をしている間、ルリナはが寝かせられる仮眠室へと連れていった。


 部屋には簡易ベッドが一つと、隅の方に椅子がいくつか置いてあるだけだった。ダンデは未だ目が覚めない#NAM1#をベッドの上に置くと、しばらく呆然との顔を見下ろしていた。


(…あれは、返事だったのだろうか…)


 ぐるぐると処理しきれない思考に、ダンデは溺れていた。いつまで経っても、口端に押し付けられた柔らかい感覚が消えてくれない。時間が経てば経つほど、答えを求めて体が今にでも行動を起こしそうな気がした。



「座れよ、ダンデ。一応お前は怪我人だからな」


 キバナが部屋にあった折り畳み椅子の一つを用意して、ダンデに座るように即足した。

「…ああ、すまない」

「今更だけど、お前は大丈夫なのか?」

 頭を気を失っていたにしては、ピンピンしている様子のダンデを、キバナは訝しげな視線を送った。

「俺か?----触ったら痛いが、どうってことないぜ」

「頑丈すぎね?」


 普段と変わりない様子のダンデに、キバナは呆れた。


「キバナ君もどうぞ」

「サンキュー、ヤロー」


 もらった折り畳み椅子をダンデの横に並べ、キバナは大きなため息を吐いて座った。座ったら、疲れが一気に出てきたような気がして、体が重い気がした。


「----お前、あれは本心なのか」


 キバナが遠慮なくダンデに声をかけると、近くで椅子をセットしていたヤローとルリナが、気まずそうな顔をして、静かに席に着いた。


「本心じゃなかったら、俺は言わないぜ。嘘はつかない----それに…」

「それに?」

「…もし、がこれから自分自身と向き合えたら、もっと強いトレーナーになると思ってるんだ…俺は、そんな彼女ともう一度、バトルがしたい」

「…お前なぁ」

「呆れたか?」

「いや、お前らしいなって思ったぜ----だが、それはコイツが望んでるかって事だな」

 キバナはに視線を移した。起きる気配はなく、こんこんと眠り続けている。
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