第17章 始まりの一歩
朝日が上り始め、バウタウンに優しい朝の光で街を明るく照らしていく。
完全に脱力したは、静かに寝息を立てて眠っていた。右側についていた仮面ももともとそこまで重たくなかった体が少し重たくなっても、ダンデは腕の力をこめてを抱きとめていた。
心臓が、バクバクしていた。
唇の真横に、まだ熱が残っているのかと思うくらい、触れたところから火傷したみたいに、顔全体に熱が広がって熱い。一体何が起こった----と、脳が上手く処理してくれない。
その様子を初めから見ていたジムリーダーたちも、どう声をかけていいのか困っていた。ダンデの腕の中で眠るは、暗示が解け、元に戻っていると思うが、最後の最後にが起こした行動に驚きを隠せなかった。
(…つまり、こいつらって両思いってことでいいのか…?)
(確かにそのような言動がありましたが…)
(の行動にも驚いたけど、ダンデがのことを好きだったのすっごく意外だわ)
(どっちも大胆なんじゃ…)
(目が覚めたらどんな反応をするのかしら…若いってやっぱりいいわ!)
キバナ、ネズ、ルリナ、ヤロー そしてメロンが色々思っていると、たった一人、カブだけがダンデとの下へ向かっていった。
「…大丈夫ですか、二人とも」
「……」
「お疲れでしょう…二人とも、休んだほうがいい」
「…はい」
「さんは…君が運んでください----もうすぐ住人たちが起きてくる前に、僕たちも移動しましょう」
ジムリーダーたち、そしてチャンピオンがバウスタジアム前にいたら、きっとニュースになるだろうと、すぐにカブが言わんとしていることがわかった。いつまでも突っ立っているわけには行かないと、他のジムリーダーたちも行動に出た。
「キバナ君とルリナさん…それにヤロー君、二人をよろしくお願いします」
「わかったぜ、カブさん」
カブに指名されると、すぐに三人は行動に移した。
「…とりあえず、スタジアムに行きましょう。そこならも寝かせられるから」
「…ああ」
ルリナがダンデに声をかけると、ダンデはやっとを抱きしめていた力を解いて、横抱きにして持ち上げた。