第16章 月と太陽
「ルールはあるのか?」
「負ければここにいるみなさんのようになるだけですけど……あ、ダンデさん!ダブルなんてどうですか?」
「構わないぜ、キミの得意なバトルでも俺はねじ伏せてみせる!」
「!!」
ドキン、と心臓が一層大きく高鳴って、は身震いした。
「時間は無制限----言っときますけど…この間の私だと思っていると、痛い目にあいますよ…♡?」
「君も相当の自信を持っているみたいだが、俺を甘く見ない方がいいぜ」
二人はボールを手に持つと、静かに見つめあった。どちらも話さず、その静けさに緊張が走った。
「いくよ、リザードン!ラグラージ!」
「出番だぜ、リザードン!ガマゲロゲ!」
二人の間に空いたバトルステージに、四匹のポケモンが現れた。
「フフフ!面白くなりそう♡」
はダンデの繰り出したポケモンを見て、ワクワクした。ダンデならきっとリザードンを出すと分かっていたが、もう一匹のポケモンがタイプ一致のガマゲロゲがサプライズだった。
(私がリザードンとラグラージを出すって分かってたのかな?でも手持ちを考えたら、ガマゲロゲが最適----他にも強いポケモンがいるのに、ラグラージを警戒したんだ----ああ、嬉しいなぁ)
「グルルル…」
のリザードンが低い唸り声をあげて、ダンデのリザードンを睨んでいた。ラグラージも相手が分かっているのか、ガマゲロゲを警戒していた。
「リザードン、ラルラージ、私たちの最高のコンビネーションってやつを見せてあげよう----行きますよ、ダンデさん!」
「ああ、かかってこい!」
二人は大きく息を吸うと、相手のリザードンを指差して叫んだ。
「「リザードン、火炎放射!!!」」
二匹のリザードンが炎を吐き出すと、それはちょうど真ん中でぶつかり合い、大きな熱風が辺りに広がった。
「ラグラージ、ガマゲロゲに冷凍ビーム!」
「ガマゲロゲ、ハイパーボイスで返り討ちだ!」
目も離せないバトルが始まり、周りは宙に吊るされ、何もできないが、このバトルの行く末を見守っていた。