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【剣盾】君を待つ

第16章 月と太陽


 リザードンから降り立ったダンデの目に、電灯の前に綺麗に宙に揃えられたジムリーダーたちと、を傷つけた首謀者のインゴが目についた。
 その光景は異様なもので、とメタグロスはそれが当たり前だというように、その場にいる。に至っては、エメットに見せられた動画そのままの姿だ。仮面に描かれたプラスとマイナスが、余計にを異常に見せる。


「お待ちしてました、ダンデさん♡」

 は恭しくダンデに頭を下げる姿も、いつものらしくなく、まるでやらされているかのような仕草だ。


「----これは、君がやったのか」


 ダンデは静かに問うた。


「ふふ♡そうです----って言ったら、怒ります?」


 姿勢はそのままに、しかし頭だけ持ち上げ、ダンデの顔を伺うように見上げた。口元が上がっているせいか、全く反省の色が見えない。は上体を起こすと、何も反応がないダンデに首を傾げた。


「あれ?怒らないんですか?」

「怒らないぜ、これは君の意思じゃない」

「…私がやったんですよ?」


 はますます首を傾げた。キバナとネズの時は、二人は嫌悪を感じさせる顔をしていた。てっきりダンデがこの現状を見て、きっと怒るか、二人のように嫌な顔をするだろうとは思っていたからだ。


「ダンデさんもこうなっちゃうかもしれないんですよ?」

「それなら心配無用だ。俺は、絶対に君に負けはしない」

「!」


 そうダンデが言い切ると、その力強い目には身震いした。指先がピリピリ痺れるような、心臓が震えるような、つい数日前にも似たような感覚を体が思い出したようだ。


「待たせてすまない----俺を待っててくれたんだろう?」

「…うん(あれ?)」


 は目が一瞬だけ潤んだような気がした。
 そしてダンデの問いに、無意識に答えていた。


(変な感覚…何、これ?)


 インゴから解放された時、ダンデのことなど思い出せもしないくらい開放感に満たされ、ガラルを去ろうとしていたくらいなのに、不思議な感覚がの心を掴んで離さない。
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