第16章 月と太陽
----起きろ、起きるんだ!
(…誰だ、俺に語りかけてくるのは…)
----起きろ!!また目の前で大切なものを失ってもいいのか!
----ハッと、ダンデは目を覚ました。
「…今のは…?俺は、一体……」
気だるい体を起こすと、体にかけられていた自身のマントが下へずり落ちた。酷く焦燥感が残る心と、気だるい体に、ダンデは困惑した。
「バギュア!」
「リザードンか…」
「バギュ!!」
「お、おい。何をそんなに慌てて…」
ダンデが起きたとわかると、傍についていたリザードンがダンデの背中に自信の頭を押し付けて、立たせようとしていた。
その時、ズキッと後頭部が痛み、ダンデは手でそこを押さえた。
「っ…そうだ、俺はキバナとぶつかって頭を打って……」
記憶が鮮明に思い出されて、ダンデは寝かされていたベンチから飛び上がった。
「!!!」
「バギュア!」
「彼女がどこにいるかわかるか、リザードン?」
「バギュア!!」
リザードンはダンデに背を向けると、ダンデは「頼むぞ!」と、そう言って飛び乗った。リザードンもようやく主人のダンデが意識を取り戻し、頼むぞと声をかけられて、大きく鼻から息を吐いた。
翼を大きく広げ、キバナに言われた場所まで全速力で飛び立った。