第16章 月と太陽
「そう!私ダンデさんに負けちゃったんだ!うっかり!テンション上がりすぎちゃった!うーん、フルバトルの方がいいのかな?でも今の手持ちじゃあちょっとなぁ…」
早速ダンデと戦うことで頭がいっぱいのは、どうしようと頭を悩ませた。その姿を見たジムリーダーたちはひとまず、何とかこの場に引き止めることはできたと安心した。
(何とか足止めはできたが…アイツの意識が戻ってるかどうか…)
キバナは自分たちが来た方角を見た。ここに来る前に、キバナはダンデをすぐ近くのベンチに寝かし、リザードンをボールから出して待機させていた。
(何とか起こしてくれよ、リザードン----もしお前たちが来ないなら、癪だがアイツに何とかしてもらうしかない…)
チラリと、の背後に目を向けるキバナ。
キバナが視線を寄越した先には、エメットとオニオンが隠れて待機していた。彼らはもしもキバナたちがを止められなかった時のために、息を潜めて成り行きを見守っていた。
「アハハハハハ!インゴ吊るされちゃってル!ウケるんだケド!!」
「し、静かに!ば、ば、バレちゃったら大変…です!」
それでも尚声を押し殺してエメットは笑っていた。オニオンはバレたら自分たちもみんなと同じ運命を辿るだろうと、困ったようにエメットを静かにさせようとあたふたした。
「ごめん、ごめん…でもいつかこうなる日が来るっテ、ボクわかってたんダ」
インゴが何故にずっと笑っているように暗示をかけたのか、本人はただ笑いかけてもらいたかったと無意識に思っているだろうが、エメットにはそれが違うこともわかっていた。
(ボクたちがどんなに嫌いあっていたとしてモ、ボクたちは双子。切り離せないし、代わりはできなイ----ねぇインゴ、気が付いてタ?)
エメットは、もしインゴと逆の立場だったら、はどんな表情をしていたのだろうか----笑っていた?
(結局ボクも切り離せないんだよネ)