第15章 真夜中の開幕劇
倒れたポケモンをボールの中に戻すと、キバナとネズは突然体が固まったように動かなくなった。
「クソッ!動けねぇ!」
「あのメタグロスの仕業ですか」
「おい!!!話しを聞いてくれ!」
キバナが動けず叫ぶと、はキバナに向かって歩き出した。キバナの目の前まで来ると、ピタリと足を止めた。
「なーんですか、キバナ様♡?」
首を傾げてキバナを見上げただが、仮面が目を覆っているせいで、はっきりとした表情がわからない。
それでも、キバナは必死に、目の前に来てくれたチャンスを逃すものかと、口を開いた。
「随分厳ついもんつけてんだな、…!全然似合ってねぇぜ」
「そうですか」
「ああ、センスねぇよそんなもん…いつものお前の方が、最高にイカしてたぜ」
「…」
唇が上がっているせいで、笑っているようにしか見えないは、キバナに背を向けた。
「キバナ様もですか…」と、は小さくつぶやいた。
「おい…」
「敗者には罰ゲーム!磔の刑です♡」
「なぁ、おい!!!!!」
フワリと、キバナとネズは浮き上がり、空いている電灯の柱の前に飾られた。
「やはり、口ほどでもなかったですネ・・」
インゴははぁ、とわざとらしくため息を吐いた。ドリュウズをモンスターボールに戻し、ジャケットについた舞い上がった埃を払った。
「インゴさん」
はまだキバナとネズがいた場所から動かず、インゴに声をかけた。
「次は、インゴさんの番ですよ」
「……は?」
空耳かと、インゴはに目を向けた。はモンスターボールをインゴに向けており、いつでも準備できている様子だった。
「…何の真似ですカ、」
「そのまんまですよ♡勝者は二人もいらない。ここに立つ以上、誰であれ、倒すのが私の使命で、あなたの指示ですよ?」
「ワタクシに逆らう気ですカ」
「…いいえ。でも、疑問があるんです。インゴさんが勝てば大人しく、どこにだってついていきますし、ちゃんと言うことも聞きますから♡----2対6でどうですか?」
「…お前の望みはなんですカ」
「もっとバトルがしたいです。ずっと、ずっと、永遠に♡」