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【剣盾】君を待つ

第15章 真夜中の開幕劇


 キバナはダンデを背負い、ネズもそれに続いた。エメットも慌てて跡を追った。

「待っテ、二人とモ!本当に行くノ?敵わない相手ダヨ?」

「うるせぇ!敵う敵わないの話じゃないんだよ!やらなきゃアイツが連れてかれるかもしれねぇし、このままで終わらせてたまるかよ!」

「あの子ガ、裏の世界ので活躍してたって言ってモ?!」

「「!?」」


 エメットの言葉に、キバナとネズは驚いてエメットに振り返った。


「…裏って、どう言う事だ…」

「そのまんまの意味ダヨ。君たちも聞いたことくらいあるでショ?なんでもありのポケモンバトル。インゴが面白半分で連れて行ったんダ、実際トレインだけのバトルにちゃんも飽きていテ、インゴも随分手を焼いていたヨ」

「…だからって、連れて行っていい場所といけない場所くらいあるだろ」

 と、怒りを声に滲ませたキバナは、酷くエメットを責めるような目で見た。


「…活躍といってモ、悪い方じゃないヨ。だってあの子、連れて行ったその日に裏の組織を壊滅させちゃったんだカラ」

「「!?」」

「…ボクは後から現場についたんだケド…あの時ほどちゃんの怖さを感じたことはないヨ…」


 何を見たのか、笑っているはずのエメットの表情が少し青ざめたような表情をしていた。



「強制的に引き出された感情だったとしてモ、元々のポテンシャルは変わらなイ……組織を一夜で壊滅に追い込むだけの力、人畜無害そうな顔をしてるのニ、あの子モ、その手持ちのポケモンたちモ、」


「ああ、もう!うるさいんだよ、お前はっ!!!」

 鬱陶しいと、キバナは怒鳴り声を上げた。

「どうなってようと、オレさまたちはを助ける!組織を壊滅だ?上等じゃねぇか!お前はそこでそうやって、一生怯えてやがれっ!!!」


 そう言い切ったキバナは、ダンデを抱え直すと、スタジアムに向かって走り出した。「え…」と、エメットは信じられないと言った顔でキバナの背を見ていると、ネズもエメットに構わず跡を追いかけた。



「おい、ネズ!ヤローたちからの連絡は来てるのか?」

「あれから一通も、誰からもない…もしかすると…」

「全く…なんて夜だよ…」


 悪い予感がした二人は、更に走るスピードを上げた。
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