第14章 悪夢は醒めない
(やっぱり戻った方が…)
必死で逃げたとはいえ、ダンデとキバナを傷つけるつもりはなかった。まさかリザードンとフライゴンがぶつかり、二人が吹き飛ばされて地面を転がるなんて、想像もしていなかった。
今すぐ戻って無事を確かめたい、ごめんなさいと謝りたいと思っているのに、体も口も動こうとしなかった。
大きな怪我をしていたらと思うと、心臓が更にキリキリと締め付けて痛い。涙も止まらず、でもリザードンに「戻って」と言う勇気も、二人に声を掛ける勇気も何もかもが、今のにはなかった。
「…バギュア」
リザードンが心配そうにに声をかけた。
「…」
は口を開けたが、言葉が何も思い浮かばず、口を閉じた。しがみついていたリザードンの体をギュッと力を込めて、その暖かい背中に顔を押し付けた。
しがみついているを気にしながらも、リザードンはが指さした目的地に向かってスピードを上げた。