第14章 悪夢は醒めない
「それでもボクはそんなちゃんを尊敬の目で見ていたヨ。ポケモンが大好き、バトルも強い、何より優しかっタ----でも、インゴはそうじゃなかったみたイ」
インゴはまた新しい画像を見つけて、はぁ、とため息をついた。
「インゴはちゃんのことが大嫌いだったヨ、今でも大嫌いダヨ」
「はぁ?なんだよそれ?」
「全然意味がわからないのですが」
話しが噛み合わないと、ネズとキバナは疑問に思った。ダンデは一言も発さず、エメットの話に耳を傾けていた。
「これはボクの考えだから、どこまで合ってるかわからないケド…インゴは、多分ちゃんと初めてバトルした時にはもうちゃんのことが気になってたんじゃないかなって思うんダ----でもボクたちは、誰かを本気で好きなったこともなイ、まともな関係も築いてこなかったカラ」
そう呟いたエメットは、笑顔なのにどこか悲しげに見えた。
「…それにインゴ自体がその事に気がついてなかったのもあるんだケド----」
スマホの画面を三人に向けると、そこにはインゴとエメットにそっくりな男が二人と、その真ん中に敬礼をして立っている駅員姿のがいた。
「ちゃんと一緒に写ってるのがボクたちの親戚。左がノボリ、右がクダリ」
「…親戚も双子なのか?」と、画面に映る写真を疑わしい目でキバナは見ていた。髪型と髪と目の色が違うだけで、表情も、もみあげも何が違うのかわからないくらいそっくりだった。
「そうダヨ!ちなみに誕生日も歳も同ジ!すごいでショ?」
「マジかよ…」
「ちなみに、ちゃんはこっちの右にいる顰めっ面してるノボリのことが好きだったんだヨ!趣味悪いよネ〜!」
「「…」」
キバナとネズは顔を引き攣らせながら、隣に座っていダンデは盗み見た。ダンデは静かにエメットを見ていた。驚きも、微動だにもしない。
「……恋する女の子って、すっごくカワイイよネェ…ちゃん、いっつもノボリのこと目で追ってタ!」
動じないダンデに、エメットはますます笑みを深めた。
「今はどうなんだろうネ?」
意味ありげにエメットは机に肘をつき、手で顔を支えてダンデの目を覗き見ていた。