第14章 悪夢は醒めない
「本当、めんどくさい事してくれたよネ。そもそもよくちゃんがバトルをしてくれたって話。嫌がってなかっタ?」
「…」
キバナはをカフェに連れ込んだ時に話していた会話を思い出していた。その時はあまり気にもしていなかったが、推薦状を断ったと言ったの表情が、今思えば悲しげに語っていたような気がした。
「…ま、ちゃん強いトレーナーが好きだから、抑えきれなかったのもわかるんだけどサ」
はぁ、とエメットは大きなため息をついた。
(俺さまのカード目当てとか言えねぇ…つか知られたくねぇ…特にダンデには)
キバナは内情を悟られないよう、冷や汗をかきながらもポーカーフェイスをしていた。
「どうしてあの男からを逃がした?」
怒りを抑え込んだダンデが席に着いた。エメットは静かにダンデを見据えた。
「----あのままじゃ、ちゃんが壊れると思っタ」
エメットは両手で顔を覆った。体を震わせ、あの時のことを思い出したくないと言った様子だった。
「ボクは、ちゃんがこのままインゴの元にいるのが良くないと思って、隙を見て逃がしたんだケド----いなくなって気が付いたみたいなんだ、どうしてあの子に執着するのか…あの時の荒れたインゴは大変だったナー」
両手を顔から外したエメットは、疲れたような顔をしていた。
「いい大人が本当に困っちゃうよね、初恋拗らせて本当に迷惑!」
プクッと頬を膨らませたエメットは、机をバンと、叩いた。
「ボクたち顔がいいでショ?女の子には昔から困らなかったワケ、イケメンのキバナ君ならわかるんじゃないカナ?」
「…」
急に話を振られたキバナは顔を顰めた。調子を取り戻してきたエメットの口角はまた上がり、ニコニコと笑顔になった。
「どんな女の子とも遊んだヨ、だって向こうから湧いてくるだからしょうがないよネ!特にインゴは気の強そうな女の子が好みなんダ、加虐心に火がついちゃうみたイ」
「…それで、とどう関係があるんです?」
げんなりした顔でネズはエメットに尋ねた。特に知りたくもないことをペラペラと話すエメットに、イライラし始めた。