第14章 悪夢は醒めない
キバナの案内で、古城の一室を貸し切ることができた。ダンデは部屋にあったベッドルームにを横たわらせ、自分もベッドに腰掛けた。力の入っていないの手の上から、自分の手を重ね合わせて、ジッとの顔を見ていた。
「ダンデ、これを彼女に」
ネズは濡らしたハンドタオルをダンデに渡すと、の腫れている目の上に乗せた。
(さっきの様子にしても、今のダンデもそうですが、まさか…)
ネズはいつもと違うダンデの様子に、薄々とダンデがの事を好いているのではないかと思い始めた。
(ただ心配しているだけの可能性もありそうですが…)
なんだか見てはいけないもの見てしまったような、ネズは気まずい思いをした。
「はぁーーーヤダヤダ。男に触られたって何にも嬉しくなイ!」
「俺さまだって好きで触ってんじゃねぇよ!怪しいもの持ってねぇかチェックしろってお前から言ったんだろ!」
別室では、キバナがエメットの持ち物検査と、衣服に何か隠し持っていないかチェックしていた。特に怪しいものはなく、一応エメットの全てのモンスターボールは、エメットから離れた場所に所持品と一緒に置かれた。
「とりあえず、ローズ委員長に連絡だな…」
キバナはスマホロトムからローズへ電話をかけた。その間もエメットから目を離さず、怪しい動きをしないか警戒していた。
エメットは警戒して自分を見ているキバナを頭の上から足の爪先まで見物していた。整った顔に、自分にはない美しい褐色の肌、背丈も大きく、ニンマリと笑みを深めた。
「なんだよ」
ローズへの連絡を終えたキバナは、ニンマリと笑っているエメットを居心地悪く感じた。
「いやぁ、君ってちゃんの好きそうなタイプだなって思ってサ!」
「は、はぁあ!?」
「ま、ボクからしたら趣味が悪いって思うんだけどネ!」
「お前性格悪いって言われねぇか?」
キバナは少し苛立ちながらエメットに言った。
「でも顔はいいでショ?」
キバナの顔を覗き込みながら、エメットは首を傾げて見せた。
疲れた様子のキバナを遠目で見ていたネズは、寝室でのそばから離れようとしないダンデの背中に声をかけた。
「ダンデ、行きますよ」
「…あぁ、わかった」