第4章 新たな門出
翌日のポケモンセンター内で、はある人物と通信をしていた。
「おー久しぶりじゃな、!全然連絡がなかったから心配したぞ」
「ごめんなさい、オーキド博士。旅に夢中でうっかりしてました」
「あれほど携帯を持てと言っておるのに、まだ持っておらんのか?相変わらずレッドと似て困った奴じゃわい」
「あは、あはは・・・(旅の邪魔されたくないし、あったらずっと触ってしまいそうで持ちたくないんだよね)博士も元気そうで何よりです」
画面越しに映るオーキド博士とは、の初めてのポケモンをくれた人で、このポケモン界で知らない人はいないほど有名な人物である。
彼は最初のポケモン図鑑を完成させた博士でもあり、そして時々孫のように心配もしてくれる優しいおじいちゃんだった。
「それで、いつものあれか?」
オーキド博士はもうわかり切っているようだった。
「はい、実は今ガラル地方にいるんですけど、ポケモン図鑑の更新をお願いしたいんです」
「遠くにおるのぉ。ガラル地方ならマグノリア博士がおるはずじゃ。ワシから彼女へメールをだしておこう・・・じゃが、お前のポケモン図鑑はもう古い。そろそろ新しいのに変えたらどうかのぉ?」
申し訳なそうな、困った顔でオーキド博士はに言った。
が、は膝下に置いてあったポケモン図鑑をギュッと手にとって、駄々をこねた。
「それは・・・できません!私どうしてもこの図鑑じゃなきゃ嫌です!」
「気持ちは分かるがのぉ・・・毎回いろんな地方で無理をさせておるうえ、更に新たなポケモンのデータとなると、本当に壊れてしまうかもしれん・・・すでに音声の部分が壊れておるのじゃろ」
「・・・」
「君が私の初めての図鑑を大事に使ってくれているのは本当に嬉しい。ワシだってどうにかしてやりたいが・・・すまんのぉ」
画面越しに見るオーキドは、本当に申し訳なそうにしていた。
手元にある図鑑は、外装があちこち剥がれ、蓋の締まりも悪く、すでに引退時を見失ったように物哀しそうに見えた。
それでもはどうしてもこの最初の図鑑を使い続けた。
ポケモンたちもそうだが、この図鑑にもたくさんの思い入れがある。