第4章 新たな門出
「・・・電話かぁ」
私は今非常に困っている。
私の掌に収まっている小さな細長い紙切れに書かれた電話番号。
誰の電話番号かって?よく聞いてくださいました、ダンデのですよ。
「ヒィィィイイ持ってるだけで怖い!一体どれだけの人がこのナンバー欲しいと思ってるんだよ!!!怖い!てかなんでくれたの?!」
それは昨日の別れ際に渡され、私も確認せず「あ、はい」と受け取ってしまったのが問題でもある。
『何かあれば電話してくれ、できる限りのことはする』
爽やかに渡され、私も一瞬ドキってしちゃったけど、反則すぎる!無自覚怖い!その爽やかスマイルで何人の女性をダメにしてきたと思ってるんだ!さすが髭の生えた美少女、体はブルドーザー(私は何を言ってるんだ・・・)。
「は〜親切すぎる、ダンデってこんな親切なキャラだったっけ?ゲームじゃ確か主人公たちの旅でサポートみたいなことしてたし・・・うん、やっぱり親切な人だわ」
いい人だな〜と思ったが、私には一つ重要な問題がった。
それは・・・私携帯持ってない問題!このご時世なのに!でも10年前なんてほとんどカントーやジョウトで普及してなかったし、無くても困らないからもうずっとそれで通してきた。連絡手段はポケセンの通信機で十分だと思ってる。
「携帯・・・持つべきかな・・・でも電話って何話したらいいかわからないし、桜○さんの声直で耳に聞いたら即死じゃん!やっぱり怖すぎる!!」
ということで、私はそっと手帳の中のポケットに、ダンデの電話番号を閉まった。というか封印した。
きっと彼は忙しくて電話に出る暇もないだろうと・・・。
しかし2ヶ月後、ローズさんに携帯を支給され、持たされるとは、このときの私は知るはずもなかった。