第13章 囚われの心
突如バサッと、大きな羽ばたく音が静かな夜を引き裂いた。月を影に大きな黒い影が、とインゴを一瞬覆い隠したと思うと、それはバルコニーを越えて、高く舞い上がった。
「!!!」
はその声に反応すると、頭上から聞こえた声を追いかけるように上を見上げた。
「…だ、んで…?」
チッと、舌打ちをしたインゴは立ち上がると、上空にいるリザードンとダンデを睨みつけた。
「よりにもよってお前とはッ…シャンデラ!」
インゴがシャンデラの名前を呼ぶと、隠れていたシャンデラが陰から姿を表した。
「お相手してやりなさイ、手加減無用デス」
シャンデラはリザードンに向かって飛び上がると、シャドーボールを繰り出した。
「行くぞ、リザードン!」
「バギュア!」
打ち出されたシャドーボールを避けると、リザードンはバルコニーに向かって急降下した。シャンデラに目もくれず、バルコニーのすぐ近くまで迫ると、ダンデはリザードンから飛び降りた。
「シャンデラを頼む!」
リザードンはダンデがバルコニーに無事降り立つと、向きを変えて飛び上がった。シャンデラを睨み付けると、お互い炎を見せつけ合い、一気に時はなってぶつけ合った。
バルコニーに降り立ったダンデは、の前に立ちはだかるインゴを静かに見据えた。
「君は誰だ、ここで何をしている」
インゴは忌々しそうにダンデを睨みつけた。
「----お前のような男に負けたと思うと、本当に腹立たしい…ですが、お前でもコイツの本当の本気を出せなかったようですネ」
「…一体何の話しだ?」
訳がわからないといった顔をしたダンデに、インゴは口角を上げた。
「お前は幸せだと言ったんデス」
インゴが体を少しずらすと、背後にいたの後ろ姿が見えた。
「あの程度のバトルで満足されてるようでしたら、これ以上ワタクシたちに関わらないでいただきたイ」
「だから、一体何の話しを…」
ダンデはインゴの背後にいたを目にすると、それ以上言葉を注ぐけることができなくなった。
月明かりでもはっきりとわかるくらい、の背中はむき出しになっていた。そして座り込んで動けない様子だった。
ドッドッドッと、ダンデの心臓が嫌な音をたてだした。