第13章 囚われの心
全く見覚えのない庭園にきたダンデは、ポケットに入れてあったリザードンのモンスターボールを取り出した。外に出てきたリザードンは、周りを少しだけ見回すと、すぐにダンデが迷子だということに気がついた。
「すまないリザードン、さっきのバルコニーまで飛んでくれないか」
「バギュ」
もう慣れた様子で、リザードンはダンデに背中を向けた。
「あとでお前の好きなポケモンフーズ、用意するぜ」
ダンデはリザードンの背中に乗り、飛び立とうとした瞬間、ガサガサと生垣から何かが飛び出してきた。それは芝生の上に倒れ込み、ゼェゼェと苦しそうな息をしていた。
「大丈夫か!?」
ダンデはリザードンから飛び降りて、倒れ込んでいるポケモンに目を凝らしながら近付いた。
「ど、どら…」
ミシリと、心臓が嫌な音を立てて軋んだような音だった。ダンデは慌ててそのポケモンを拾い上げると、間違いなく自身のドラパルトにくっついているドラメシアだと気が付いた。
「何があった!?」
「どら…ど、どらぁ…」
ドラメシアはダンデの腕の中でもぞもぞ動くと、生垣の方を手で指していた。
「…どら」
(まさか----)
何か言いようのない、得体の知れない不安が、ダンデの心を蝕んだ。そうであってほしくないと思う一方、不安が強くなっていく。
「ボールの中に戻るんだ、ドラメシア。あとは俺がなんとかする」
ダンデがそういうと、ドラメシアはようやく力を抜いて、腕の中でぐったりとした。ドラパルトのボールを出してドラメシアを中に戻すと、ダンデは静かにドラパルトの指した方角を見た。
「急ごうリザードン…悪い予感がするんだ」
グッと拳を握りしめると、ダンデは急いでリザードンに乗った。