第13章 囚われの心
ダンデが走り去ってちょうど、オリーヴが会場のドアを開けて出てきた。ローズの視線の先にダンデがいるのを確認すると、オリーヴは静かに口を開いた。
「…行かせて良かったのですか?」
ふふふと、ローズは笑った。
「いつの間にか、ダンデ君も男になってたんですねぇ…どんなにチャンピオンとして振る舞っていても、どんな男も気になる女性の前ではただの男に戻るようです」
「…よろしいのですか、彼一人に任せても」
どんどん小さくなっていくダンデが、庭園の方へ曲がって行くのを見えた。
「私たちじゃどうにもなりません…でもダンデ君ならどんな結果になろうと、大丈夫です。確かに君は我が社にとって少し危険な人物かもしれませんが、それでも一ミリの後悔もダンデ君にはさせたくないのです」
「…」
「ここで吹っ切れれば、彼はチャンピオンとして今後も集中できるはずです----ですが、それ以上のことも起こるかもしれません」
「さ、私たちはもう少し頑張りましょう」と、ローズはオリーヴと一緒に会場の中に戻った。