第3章 迷走
【ダンデ目線】
*ポケモンの心の声入ってます。
「じゃ、私これから特訓の旅に出かけますので!」
チャンピオンカップで会いましょう!と颯爽と去っていく彼女の後ろ姿を俺は見送りながら、ワクワクした気持ちと、もう行ってしまうのかと、よくわからない気持ちもあった。
(またこれか)
いつも彼女が去った後はふたつの気持ちがあって、俺はため息をついた。
俺のそんな様子に気が付いたのか、リザードンが、バシっと俺の背中を尻尾で叩いてきた。かなり手加減をしてくれているが、少し体がよろつくほどだった。
「バギュア!(鈍い!)」
「なんだリザードン?何をそんなに怒ってるんだ?にまだ撫でられたかったのか?」
「バフ・・・(こりゃ長くなりそうだ・・・)」
「・・・よくわからないが、お前が呆れているのはわかるぞ」
リザードンにため息をつかれて、俺は苦笑いした。
方向音痴のせいで道案内もほとんど任せっきりにしたせいか、少しお節介焼きになってしまった。
相棒のことならなんでもわかっている気がしたが、今日は少し様子の違うリザードンに俺は困った。
「また会えるさ」
「・・・グルル(会いたいのはダンデの方だろ)」
「それにしてもよくあんなに他の人に懐いたお前を見るのは初めてだ!でも彼女も随分慣れた手付きだったな・・・リザードンも好きだって言ってた」
「バギュ、バギュ!(そう言えば彼女から俺と同じ匂いがしたぞ!)」
必死に何かを伝えようとするリザードンだが、わからなくて俺は苦笑いした。きっとリザードンは、彼女の何かに気が付いたはずだ。
そしてすでに彼女が去った道を俺はまた見直した。
(早く君と・・・)
・・・
「早く戦いたいな」
「バギュア・・・(やっぱり長くなるな・・・)」
「なんだか俺も特訓がしたくなってきた!仕事を終わらせたら、俺たちもやるぞ!」
「バギュ!」
今はまだわからないが、いつかこの気持ちを探し出してみせると俺は決めた。君に負けないためにも、俺は全力の君を超えてみせる!