第12章 踏み外したステップ
穏やかになった心も、そう長くは続かない。
「いえ、してませんよ」
と、は俺に拗ねてそっぽを向いて答えた。楽しいと思っていた会話も、雰囲気も、全てを台無しにするには十分だった。
「…決めてたんです、この旅が終わったら帰ろうって」
どんな顔をして君は話しているんだろう。
旅が終われば、君にとってこのガラルはもう終わりなのだろうか。
俺の愛するガラル地方を、もう去ってしまうのか……。
「----いいんじゃないか、君のご両親も喜ぶはずだ」
演じろ、ダンデ。
「大袈裟じゃないさ、俺は君が----」
彼女の旅路を、俺が止める権利はないんだ。友達なら、心よく送り出すんだ。
「君がいてくれたら、時々手合わせを願おうと思ってた」
「ダンデさんの手合わせですか?フフ、悪くないですね、それ」
屈託のない笑顔で微笑んでいる彼女が、眩しく見えて俺は目を細めた。
この仄暗い気持ちは、なかったことにしよう。
俺の何かが、君を壊してしまう前に。
君に、嫌われないように----。