第12章 踏み外したステップ
「それで---君は今後どうするんだ?---どこかとスポンサー契約はしたんだろ?」
まだ少し笑いの余韻が残りながらも、ダンデはに質問をした。今夜ダンデがに一番聞きたかった質問であり、不自然に聞こえないよう聞いた。
「(まだ笑ってる…)いえ、してませんよ」
拗ねたは、フンっとダンデとは反対の方向に顔を向けた。そのせいで、はダンデがどんな顔をしているか見逃していた。
口角が上がっていた口も、それを忘れたように下がった。信じられないと言ったような顔で、ダンデは自分から顔を背けるを凝視した。
「----理由を、聞いてもいいだろうか?」
「…決めてたんです、この旅が終わったら帰ろうって」
「帰るって…君の故郷にか?」
「…うん」
「----いいんじゃないか、君のご両親も喜ぶはずだ」
はダンデの明るい声に振り向いた。いつもと変わらない優しい笑みを浮かべていて、は内心ホッとした。
「船の予約は?」
「まだです。でも近い内に取る予定です」
「…そうか…寂しくなるな」
「そんな大袈裟な…」
「大袈裟じゃないさ、俺は君が----」
一瞬眉間に皺を寄せたダンデは、言葉に詰まった。まるでその先を知らなくて、どんな言葉を出していいかわからないような…。
「君がいてくれたら、時々手合わせを願おうと思ってた」
「ダンデさんの手合わせですか?フフ、悪くないですね、それ」
屈託なく笑うに、ダンデは少しだけ口角をあげた。