第12章 踏み外したステップ
(この人まじで神に愛されて作られたって感じ…)
月の光で照らされている前髪、スッと通った鼻筋、形のいい唇に、顎のラインを走る整った髭----。
直視しすぎると目に毒だと思ったは、慌てて庭園の方へ体を向けた。ドラメシアがフワフワと噴水の周りを漂っているのを見つけた。
「そ、それで話ってなんですか?怪談話は嫌ですからね!」
「はは、わかった。そうだな…が旅をしてきた話しを聞いてみたいって思ったんだ、あの試合の時」
ダンデもと同じように体をバルコニーに向け、手すりに組んだ腕を置いてもたれかかった。
「あそこまで追い込まれたのは、師匠とバトルをした時以来だ。君は俺と違って外の世界を回ってきた。君がどうやって強くなったのかも知りたいんだ」
はそっと横にいるダンデをチラリと伺った。どこまでも澄んだ眼差しが月を見ていた。視線を遠くにある月に戻すと、は呟くように話し出した。
「----私は、強くないですよ。ポケモンたちが、あの子達が頑張ってくれてるんです。だから私も頑張らなくちゃって…でも無茶する子もいてちょっと手を焼いてます…ははは」
「…あくまで俺の考えだから、当たっているかはわからないが……」
ダンデは考えるように話しながら、横にいるに振り向いた。もダンデの話が気になり、ダンデの方を見た。
「笑顔でいてほしいんじゃないかな、に。君がポケモンを大切にしている分、彼らも君に何かしてあげたい、守りたい、のことを思っている」
「…」
「----あと負けず嫌いなところは君にそっくりだ!」
「それ余計です!」
「はは、否定はしないんだな!」
(めちゃくちゃいいこと言ってたのに〜〜!!負けず嫌いはダンデもでしょ!)
ムスッと拗ねてダンデを睨みあげると、「ごめん、ごめん」と、笑いを抑えながら謝罪の言葉をした。全く謝罪の感情がこもっていないような気がした。