第3章 迷走
「チャンピオンカップのことなんだが…」
ダンデが少し気まずそうに、元々聞きたかったであろう質問をしてきた。
「えっと…はい、色々あって出ることにしました(キバナ様のカード欲しくてとは言えない…)」
「俺は・・・どんな形であれ、君が参加してくれたのは嬉しい。ここで手合わせできないのが惜しいくらいだ」
ピリっと肌で感じたダンデからのトレーナーとしての、チャンピオンとしての迫力をは感じ取った。自分の腰につけたモンスターボールたちがカタカタと震えだし、そっと手で抑えた。
「…ダンデさん、ありがとうございます」
「? 俺は何かお礼を言われるようなことをしたかな?」
「こんな私とバトルがしたいって言ってくれて…この間はちょっとビックリしましたけど」
「本当にすまない…」
「ちょ、あ"あ"あ"!!また頭下げなくていいですから!大丈夫ですから!!!」
また頭を下げたダンデに、は必死にやめてくれと懇願した。
は頭を元に位置に戻したダンデが、フッと笑ったような気がした。
(いろんな意味で心臓に悪いなこの人…しかも無自覚っぽいからなぁ…でも私、言わなきゃ)
そしてどちらも口を開くことなく、は決心したとスッと力強くダンデを見つめた。
「ダンデさん、私がカントー出身だからって甘く見たら、痛い目見ますからね」
雰囲気がガラリと変わったに、あの時一瞬見えた、目の奥にある静かな炎が、ダンデはまた見えて心が震え出した。
「ここまで焚きつけられて、今更カントーに帰れません。私も全力で勝ちに行きます」
「! ああ、待ってる!!」
その熱が移ったように、ダンデも力強く応えた。
しばらく見つめあった後、フッと力を抜いたのはが先だった。
「あ…でもブランクもあるので大会が始まる前に特訓してきますね!」
「俺も君に負けないように全力で努力するよ」
「もう十分強いじゃないですか」
「いいや、まだまださ」
プ、とが先に笑い出し、ダンデも釣られて頰を緩めた。
負けず嫌いはお互い様だと改めて二人は認識した。
そして絶対にバトルで勝つと心で決めた。