第12章 踏み外したステップ
パシャと、カメラのする音が聞こえた。は音のする方を見ると、キバナのスマホロトムがニコッと笑ってキバナの周りを飛んでいる。
「え…写真---」
「言い忘れたんだけどよ」
「はい?」
首元に手を当てたキバナがの話を遮るように話し始めると、は首を傾げてキバナを見上げた。
「ドレス、似合ってるぜ。昨日探しに行った甲斐があったな」
「っ///!!!」
ブワッと顔に熱が集まりだし、体はプルプルと震えた出した。キバナを見上げていた顔は、一気に下へ急降下した。
「き、キバナ様達のおかげです…メイクもルリナの職場の人にしてもらって…私じゃないみたい///……本当に、ありがとうございます///」
声をなんとか振り絞っては、忙しなく鼓動する心臓が破裂するのではとは思った。
(それに色被るって事故だけどお揃いって…推し色選んだ昨日の私ありがとうっ///!!!(合掌))
「じゃ、記念写真撮っとこうぜ」
「え"?!ちょ、待っ、む----」
待っても無理の声も届かず、グイッと肩を引き寄せられる感覚に、デジャブを感じた。パシャリとキバナのロトムスマホが並んでいる二人の写真をあっという間に撮られてしまい、は顔から湯気が出そうな勢いで真っ赤になっていた。
「どれどれ…」
早速写真を確認するキバナは、スマホロトムに映る写真を見た。
「…お前…」
(ま、まさか白目向いてる写真とか…え、キバナ様なんか言ってぇぇえ!!)
写真を見て微動だにしないキバナに、はハラハラしながらどんな写真が撮られたのかすごく気になった。「ふっ」と、キバナが笑いを押し込めたような息をこぼし、の不安は更に高まった。
「ナックルジムの時もそうだけどよ、お前のリアクション最高だぜ」
ほら、とキバナが自身のスマホに映る写真をに見せると、そこに映る自分は真っ赤な顔でギュッと目を瞑っていた。まるで----。
「色違いのソーナンスみたい…」
「ソーナンスって…ブフッ…自分で言うか?」
「わ、笑わないでくださいよぉ///!消してください///!!」
「お前の所にも送って送っておくぜ」
「話聞いてますキバナ様ぁ!?」
その後、二人の攻防は少し続いた。