第12章 踏み外したステップ
パッと会場の電気が全て無くなり、代わりにスポットライトの光が舞台の上に一つだけ落とされた。マイクスタンドだけがそこにあり、一つの人影が入り込むと、人好きの笑顔を浮かべたローズ委員長が姿を現した。
「皆様、今年も大会を無事開催でき、そして盛大に盛り上がることができました。無事、この日を迎えられたのも皆様のおかげです!----それでは皆様お待ちかね、チャンピオンの登場です!」
簡単な挨拶だけを終わらすと、ローズは早々にスポットライトの外へ出た。
時間差もなく、スポットライトの中に入ったのは、いつもの何十倍もキラキラと輝いてみえるダンデが現れた。黒いスーツにトレードマークの赤いマントを羽織っており、会場はダンデの登場に拍手を送った。
「す、すごい…ダンデさんが眩しく見える…」
「見慣れた光景だけど、やっぱり悔しいわ」
「来年こそ俺さまがダンデを倒す」
「…」
「ダンデ君、今日も絶好調みたいじゃな」
「え、えっと…ダンデさん、かっこいい…です」
会場中の拍手を受けたダンデは、テレビでよく見かける笑顔を浮かべて手を控えめにだが振っていた。ダンデがマイクスタンドの前に立つと、拍手は自然と無くなっていった。
「ありがとう、みんな」
頃合いを見て、ダンデのスピーチが始まった。
「まずはこの大会に尽力してくれたローズ委員長とスポンサーの皆様には感謝しきれません。そしてマクロコスモスの社員、リーグスタッフ、みんなが頑張ってくれたおかげで無事に大会を終えることができたと思っている」
ダンデは臆することなく話し続けた。
「今年は一味違った年だった。俺自身この間のチャンピオンカップで痛感させられた。胡座をかいていたつもりはない、だが俺はもっと強くなれると分かった。だからあえて言わせてもらいたい」
空気が一瞬にしてガラリと変わり、、そしてジムリーダーたちは息を飲んでダンデを見据えていた。
「来年の俺はもっと強い。そのつもりで来年も挑んでほしい」
チャレンジャーたちを煽るには十分な一言だった。特にの隣に立っているキバナからは闘志が感じられた。
「上等だぜ、ダンデ…俺ももっと強くなってやる」
(やる気に満ちてるキバナ様かっこいい〜〜♡///!!!)