第12章 踏み外したステップ
大広間に着くと、もうすでにたくさんの人やスタッフが来ていた。チラホラとジムリーダーの姿も確認できた。大広間は広く、まるで中世のダンスフロアを思わせるほど。天井に着いたシャンデリアも豪華な作りで、は目をキラキラさせて大広間の内部をじっくり観察した。
ルリナに着いて歩いていると、周りの人より大きな体格の男と、その横に独特の仮面を被った少年を見つけた。
「あ、ヤローさんにオニオン君!」
「やぁ、さんとルリナさん」
「こ、こんばんは…」
スーツを着ているヤローはトレードマークの帽子をかぶっておらず、ふわふわのピンク色の髪がわたあめみたいだとは思った。オニオンは仮面は変わってはいないものの、しっかりとスーツを来ていた。そして黒い蝶ネクタイをつけている
(うーん…オニオン君は成長したらめっちゃイケメンになりそう。というかなるな。ヤローさんは…スーツきつそうだな…どっかのマタギみたいにはちきれないといいんだけど)
「こんばんは、二人とも。早かったのね」
「いや、俺もさっき来たばっかりなんだわ。オニオン君とはさっき会ったばっかりじゃ」
四人は固まって歩き、ドリンクが置かれているテーブルへ移動した。オニオン以外はシャンパンを受け取り、四人で小さな乾杯をした。
ちょびちょびシャンパンを飲んでいると、特徴的な白と黒の髪を見つけて、は人目を気にせず、その人物の名前を呼んだ。
「ネズさん!」
何人かの人がを見ていて、は「あ」と口元を押さえて恥ずかしそうに下を向いた。
「もう酔っ払ったんですか、お前は」
「ち、違います!」
やれやれと呆れた様子でネズがたちの方にやってきた。
「打ち上げには来たんじゃな、ネズ」
「一応スポンサーのこともありますからね、話が終わり次第帰ろうと思ってます」
「マリーちゃんが心配なんですよね、兄貴」
「余計なことは言うな」と言わんばかりに、ネズは静かにを睨みつけた。安定のシスコンだった。