第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
「チッ…やっと見つけたというのに面倒なものがいますネ…」
キバナが去っていく方向とは逆のビルの間から、黒い帽子を深く被り、黒いコートで身を包んだ男がスッと姿を表した。鬱陶しそうにキバナを一見すると、男はまだ薄暗い路地裏に戻った。
(ワタクシの視線に気がついていたくらいダ…用心しなくてハ……、もう逃しませんヨ…)
・・・・・
今年の打ち上げの場所は、ナックルシティの古城の大ホールを使って行われることになっていた。始まる時間は午後からで、バウタウンに準備をしに行ってナックルシティに戻ってくるまで、十分な時間はあった。
それでも早起きのルーティンが身についてか、八時前には目が覚めてしまった。
必要な荷物は全てカバンの中に詰め込み、エレズンを抱えては意気揚々とホテルを出た。
「リザードン、出てきて!」
「バギュア!!」
「バウタウンまでお願いできる?」
「バギュ!」
もう人目を気にせずにリザードンを出せるようになってか、リザードンもどこか嬉しそうにしていた。とエレズンを乗せたリザードンは、力強く飛び上がると、バウタウンに向かって飛行し始めた。
「バウタウンに〜全速前進!!!」
「エレ!」
「バギュア!!」