第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
「みなさん、今日は私のために時間を割いてくださって、本当にありがとうございます!」
空もすっかり暗くなり、アーマーガアタクシーの前では三人に頭を下げた。
「そんな畏まらなくたっていいのよ、私も楽しかったわ」
「明日、私のジム前に来てね。とびっきり可愛く仕上げるから」
「ほ、程々でお願い、ルリナ…」
アーマーガアタクシーに乗り込んだメロンとルリナを見送ると、キバナは「じゃ、行くか」とを即足した。
「え、どこへですか?」
「お前の宿泊先」
「すぐそこですから大丈夫ですよ!?ずっと荷物持ってて疲れてますよね?」
「ばぁか!これくらい余裕だ。柔な鍛え方はしてないぜ」
「行くぞー」と、勝手に歩き出したキバナに、は慌てて着いていった。
「あ、ありがとうございます、キバナ様…(やっぱりカッコいいなぁ///)」
緩みそうになる口をなんとか引き締め、は「あっちです」と、ホテルの方角を指した。
・・・・・・
ホテル前に着くと、はキバナから荷物を全て受け取った。
「キバナ様、本当に色々ありがとうございました!ナックルシティって本当に色々なお店があって楽しかったです!」
「おう、時間ある時にまた周ってみると良いぜ」
「そうします!」
今度ナックルシティを一日散策するのも悪くなさそうだとは思った。
「じゃ、また明日な。もう遅いから出歩いたりするなよ、ここは治安がいい方だが…油断するな」
「え…はい、わかりました!今日はホテルから一歩も出ません!」
一瞬真剣な顔をしたキバナには首を傾げたが、ただ心配してくれただけと思うことにした。
「あ、そうだ、忘れてたぜ。ヘイ、ロトム」
「ロト〜!」
可愛らしい電子音の声が、キバナのパーカーから姿を現した。
(えーーースマホロトムってそこにいたの?ずっとキバナ様のお腹のポケットに…う、羨ましい…生まれ変わるならキバナ様のスマホロトムが良かったな…)
「俺の番号表示してくれ」
「はいロト〜」
画面がパッと変わると、キバナはスマホロトムを手に取った。そしてそれをの目の前に見せるように差し出した。
「ん。俺の番号」
「…んぇ???」