第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
特に興味もなくコスメを見ていると、口紅やリップクリームのコーナーに来ていたことに気が付いた。色とりどりある中で、キバナはなんとなく一本を手に取った。
淡いオレンジ色のリップスティックの中に、ラメが少し入っている物だった。
「それ、あの子に似合いそうね」
「!」
キバナは慌てて声のする方へ体を向けると、怪しく笑うメロンが面白そうにキバナを見ていた。キバナは居心地悪そうにしながらも、戯けて見せた。
「何言ってんだよ、メロンさん。俺さまはただ見てただけだぜ」
「どうかしら?…でも駄目よ、彼氏でもないのに口紅を送るだなんて。意味わかってるの?」
「意味…?」
「男が女に送る口紅は、『貴方にキスしたい』って意味なのよ?知らなかった?」
「っ//!」
キバナは慌ててリップスティックを棚に戻すと、まだ化粧の試し塗りをしているとルリナが目に入った。それもちょうどルリナがの口に紅を乗せている時で----。
「----ファンの女に手を出すほど、俺は飢えてねぇよ」
スッと目を細めてキバナはメロンを睨みつけた。
ピリリと感じる威圧感に、メロンは笑みを深めた。キバナはこれ以上メロンに踏みいられるものかと、その場から離れた。離れてしまったキバナの瀬を見つめるメロンは、フフフと声を漏らした。
「あーぁ、ムキになっちゃって…盗られても知らないわよ?」
その呟きは離れすぎたキバナには届かず、楽しそうに笑い合うとルリナを見て、メロンは楽しそうに笑みを深めた。