第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
「じゃあ行くわよ!女の子は準備が大変なんだから!」
まるで自分の買い物をしに行くような発言をするメロンに、とキバナは内心ハラハラしていた。
「じゃ、じゃあ俺さまは明日の準備があるし、男の俺が行っても邪魔にな----」
「何言ってるんだい、あんたも来るんだよ」
「いや、俺…」
「男にしかできない仕事があるでしょ?」
「…」
ナックルシティをルリナ、、メロンの三人が横に並んで歩き、その数歩後ろを紙袋を持たされてとぼとぼと歩くキバナ。ジムリーダーたちと今年の準優勝者が固まって歩いていれば、やはり目立ってしまう。
その日のポケッターやポケグラムに、荷物持ちも似合う男のハッシュタグがトレンド入りすることとなった。
「やっぱり都会はいいわね、すぐに物が揃うわ」
ご機嫌のメロンに、とルリナは苦笑いしかできなかった。の要望で、なるべく露出控えめのドレスは見つかり、それに合いそうな靴も見つけることができた。
は申し訳なさそうにキバナを振り返ると、たまたまキバナと目が合ってしまった。キバナは大丈夫だと優しく笑って見せると、はちょっとだけ安心した。
あとは化粧品を買うだけとなり、コスメが揃うお店に四人は向かった。
化粧品に関しては、ルリナが率先して色々なコスメを勧めてくれた。化粧をする前の肌の整え方や、下地、合った色の話を聞きながら、一つ一つを試していた。
手持ち無沙汰となったキバナは、少し離れたところで化粧品を興味深く見ていた。
(こんな大量にある中から合った物を選ぶって、女ってつくづく大変だよな…)
今日の買い物であちこち連れまわされたキバナは疲れていた。それよりも何回も違うドレスや靴の試着をさせられたがヘロヘロになって試着室から出てくるたびに、女じゃなくてよかったとキバナはこっそり思った。