第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
「そういえば、明日の打ち上げは行くのか?」
「私は特にスポンサーとかいないので、行っても意味がないような気がするんですけど…堅苦しいところは苦手ですし」
打ち上げとは、チャンピオンカップの後に行われる大きなパーティのことで、そこにはマクロコスモス社員やスポンサーたち、ジムリーダーたちを交えたものになる。要は今後の活動やスポンサー契約などが関わってくるのだ。
「お前とスポンサー契約したいところがいるかもしれないぜ」
はスポンサーのロゴだらけの服を想像すると、やっぱり辞めておこうと思った。決して誰かのマントがロゴだらけでちょっとダサい…なんてことは思っていない。
「さん、行くべきですよ!!」
「あ、リョータさん、レフリーありがとうございました!」
会話を聞いていたリョータが慌ててに進言した。そして声を潜めて耳元で話しかけた。
「打ち上げにはドレスコードでの参加なんです…わかりますか、この意味?」
「ドレス…コード…」
ハッとはリョータを見ると、リョータはグッとサムズアップした。
「滅多に見れないキバナさんのドレスコード…ファンとしては見逃せないはずです」
「そ、そうですね!」
「おーい、お前ら何話してんだー?」
「ちなみに去年の写真、俺のスマホに保存してあります」
「それ後でkwsk」
「リョータ?ー?」
「キバナさん!私やっぱり打ち上げ行きます!!」
「お、おう…(リョータのやつ、何を耳打ちしたんだ?)」
突然やる気に燃え出したに、キバナはまさか自分のドレスコードのせいだとは夢にも思わなかったのだった。
「…あ」
しかし、は肝心なことに気が付いた。「どーした?」と、キバナが声をかけると、さっきまでやる気に溢れていた気迫はどこへやら、の顔は真っ青だった。
「わ、私…ドレス持ってない…それにどんなドレス着ればいいのかわかんない…ど、どどどどうしようキバナ様ぁ!!」
「落ち着けって。まだ一日あるだろ」
「そうですけどぉ…」
オロオロするに構わず、キバナはスマホロトムに話しかけた。
「ヘイ、ロトム。ルリナに連絡入れてくれ」
「はいロト〜!」
何回かのコール音の後、「もしもし?」と女性の声が聞こえた。