第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
「…お取り込み中すいませんが」
があともう少しで極楽園に旅立つ所へ、気怠げな声が割り込んできた。
「「!!!」」
とキバナは慌てて距離を取り、声をかけてきた人物に振り向いた。
「ね、ネズお前!いつからいたんだよ!!」
「…よく頑張ったぜ、。さすが俺さまの----」
「全部言わなくていいんだよっ///!!!」
珍しく照れて慌てふためくキバナの姿に、は「慌ててるキバナ様も素敵…///」と、心の中で合掌した。
「で、何の用だよ」
「俺はコイツを返しに来ただけですよ」
「エレ!」
ネズの腕に抱かれたエレズンは、ジトっとした目でキバナを見ていた。
「エレズン!」
「エレ〜!!!」
が慌ててネズの元へ駆け寄り、エレズンを受け取ると、エレズンはにギュッと力強く抱き着いた。
「面倒見てもらってありがとうございました、ネズさん!良い子にしてましたか?」
「お前のポケモンとは思えないほどしっかりしてましたよ」
「それどういう意味ですか!?」
ムッとはホオバリスのように頬を膨らませながらネズを見ると、ネズは「ベビーシッターはもうこれっきりですよ」と、クルリと背を向けて歩き出してしまった。
「うー…」
去っていくネズの後ろ姿を、エレズンは寂しそうに見ていた。すっかりネズに懐いてしまったようで、はネズがしっかりとエレズンを見てくれたんだと気が付いた。
「ネズさん!ありがとうございました!!」
は遠ざかっていく背中に大きな声をかけると、ネズは振り返りはしなかったものの、片手だけを一度上げて行ってしまった。
「カッコつけやがって」と、キバナが口を尖らせて言った。
「じゃ、俺も行くわ。お前はこれからポケモンセンターだろ?」
「はい、無茶した子もいるので…」
「それだけお前を勝たせたかったってことだ。いいチームだったぜ」
「キバナ様…」
「次は負けるつもりなないぜ、覚悟しとけよ」
「へ?」
は首を傾げると、キバナは不敵に笑った。
「再戦希望だ。準備できたらナックルジムに来てくれよな」
「---もちろん、ボッコボコにしに行きますよ!」
ニッと、はキバナに笑いかけた。