第11章 【第二幕】置いてきた過去に追い付かれて
「あー…ちょっと話がしたいんだけど…」
キバナはびっくりして固まっているを見ると、目元が赤く腫れていたことに気が付き、気まずいと感じた。
(完全にタイミングミスった…そりゃあんなバトルして負けたら悔しいに決まってるだろ…でも今会わなかったらコイツの電話番号も知らねぇし、泊まってるホテルで待ち伏せも色々アウトすぎるぜ…)
キバナは壁から背を離すと、ドアを開けて固まってるに近付いた。そして目の前まで来ると、キバナは決心して口を開いた。
「悪かった、昨日の夜のこと…酔ってたとはいえ、お前に酷い事したよな…」
「ごめん」と、キバナは静かに謝罪の言葉をこぼした。はゆっくり顔を上にあげた。
「えっと…私なら、大丈夫です!むしろキバナ様やみんなにモヤモヤさせてて申し訳ないというか、気を遣っててもらってたんだって…それに…」
は上げていた顔を少し下げ、声色を落として呟いた。
「本気の私とバトルがしたいとか、ジム巡りに引っ張り込んだことに責任を感じてもらったり…今思えば最高のファンサもらったと思ってるので…」
「…おう」
「あ、で、でももしキバナ様がそのことを凄く気にしてるんだったらなんですけど……ここまで頑張った私に、何かご褒美があったらいいなー…なんて…(あーーー私何言っちゃってんの///!?ご褒美とかカードもらったじゃん///!!!)」
は今更になって、自分の失言にキバナの顔が見れなかった。
(き、キモいなんて思われたら…立ち直れない…)
やっぱり今のは嘘でーす!と、は言おうと顔を上げようとした時、ポスンと、頭の上に何かが置かれた。
「よく頑張ったぜ、。さすが、俺さまのファンだな!」
「え?!」と、は顔を上げると、少し照れくさそうにしながらも、フニャっと笑ったキバナが目に飛び込んできた。ポンポンと頭に優しく感じるキバナの手に、は全身から火が噴き出すほど真っ赤になって硬直した。
あまりの情報量にの思考は追い付かず、「ヒェ…///」と、言葉しかこぼすことしかできなかった。
(し、心臓がマジで爆発する…//////)