第10章 チャンピオンカップ
がリザードンをモンスターボールに戻し、立ち上がったところで、ダンデもリザードンを撫でる手を止めた。「休んでてくれ」と、リザードンに声をかけると、ダンデもの元へ歩き出した。
ちょうどフィールドの真ん中で二人は止まると、先に話しかけたのはだった。
「ダンデさん、優勝おめでとうございます。悔しいですけど、完敗です」
「ありがとう。と言っても、俺たちもギリギリだった…色々学ばされたよ、君とのバトルは…君は、今まで出会ったトレーナーの中で、誰よりも強かった」
自分を真っ直ぐ見つめる黄金の瞳に、嘘偽りをいっているのではないと感じさせるほど、優しい目をしていた。は少し照れくさくなり、頬にうっすらピンク色がさした。
「、俺とのバトルは…楽しめたかな?」
少しだけ眉を下げて聞くダンデに、はニッと笑った。
「はい!とっても!」
目を閉じると、さっきまでのバトルが頭の中にはっきり浮かび上がるくらい、鮮明で、胸が高鳴って、自然と広角が上がってしまう。
ダンデはに手を差し出すと、も迷わずその手をとった。二人が握手を交わすと、スタジアムはさらに歓声に包まれた。
バタンと、トレーナーの控室のドアが閉まった。閉まったドアに背をついて、はズルズルとその場に座り込んだ。
「…っ」
熱い涙がボロボロと目から溢れ出し、声が溢れ出した。
「はぁ……悔しい、なぁ…」
ダンデとのバトルは本当に楽しかった。忘れていった感覚が戻り、勝ちたいと願ったのに、あともう一歩届かなかった。
負けてスッキリしたはずなのに、手持ちのポケモンたちを勝たせてあげられなかった悔しさを必死に押し隠した。
ポンと、頭の上に優しく何かが乗った。は顔を上げると、ゲンガーがニッコリ笑っていた。
「ゲンガー…」
「ゲン!ゲンゲー!!」
それが合図になったのか、モンスターボールから次々と手持ちのポケモンたちが出てきた。