第10章 チャンピオンカップ
『8』
「リザードン、立ち上がって!」
『7』
「がんばれ、リザードン!」
とダンデも、今すぐに寄り添ってあげたい気持ちをグッと抑えながら、相棒の名前を呼んだ。
『5』
すると、一匹のリザードンが目を覚まし、体を起こし始めた。
「リザードン!!!」
はなんとか起き上がったリザードンに声をあげた。
『3』
そしてもう一匹のリザードンも目を覚ますと、重たい体をなんとか起き上がらせた。
「負けるな、リザードン!!!」
ダンデも声を上げた。
『1』
レフリーのカウントが止まった。つまり、試合続行を意味をしていた。
しかし、グラリと揺れだした大きな体がスローモーションのように前へ倒れていくように見えた。ズズンと、オレンジ色の巨体がフィールドに倒れ込むと、土埃がまった。
『----リザードン、戦闘不能!よってこの勝負…ダンデの勝利っ!!!』
レフリーの放送で、鎮まっていたスタジアムに一気に声が広がり戻ってきた。花火が一斉に空へ打たれ、観客たちは席を立って祝賀の言葉を二人のトレーナーに送った。
「リザードン!!!」
は急いで倒れ込んだリザードンの元へ駆け寄り座り込むと、頭に手を乗せて撫で上げた。
「かっこよかったよ、リザードン…頑張ってくれて、ありがとう」
「……」
閉じていた目の片目をあげてを見上げたリザードンは、目を潤ませていたが、笑っているを見て、フンっと鼻息を一つ鳴らして目を閉じた。
「…私、すごく楽しかったよ…リザードンも楽しかったでしょ?」
「…」
「……帰ろっか、マサラタウンに。ちょっと休んだら…また旅に出よっか」
「…バギュ」
はダンデの方に振り返ると、リザードンに飛びついて少年のように笑っているダンデがいた。喜びを分かち合うようにリザードンの頭を撫でているダンデに、は微笑んで見ていた。
リザードンをモンスターボールに戻して立ち上がると、土埃を手で払ってダンデの元へ向かった。