第10章 チャンピオンカップ
お互いを強く睨みつけると、二匹のリザードンはバッと、勢いよく後ろへ跳んだ。
(きっとこれが…)
(最後だな…)
とダンデは自身のリザードンの状況を見て、限界なのがわかった。尻尾の炎を勢いよく燃やし、限界を越えようとしている二匹に、はダンデを見た。
すると、ダンデもこちらを見ており、目が合った。
何も話さなくても、お互い言いたいことがわかっているような、奇妙な感覚がした。
「----リザードン、行くよ」
「バギュア!!」
「雷パンチ!!!」
バチバチと拳に雷を溜めて、メガリザードンはリザードンへ飛んで向かっていった。
「俺たちも負けられないぜ、リザードン」
「バギュ!バギュア!!」
「原始の力!!!」
無数の石の塊がリザードンの周りに浮かび上がると、こちらへ向かってくるメガリザードンへ降り注ぐように石を飛ばした。
飛んできた石をメガリザードンは素早く飛んで避けるが、石の多さに間に合わず、肩や腹、複数の場所に石が当たり、痛みに目を瞑った。が、カッと目を開け、翼に力を込めてリザードンの元へ真っ直ぐ向かった。
雷を纏った拳をリザードンのお腹に入れると、バチバチと青白い光が大きく光、突っ込んだ勢いでリザードンは後ろへ大きく吹き飛ばされた。
飛ばされて土埃に消えたリザードンを見送り終わると、メガリザードンがスタジアムのフィールドに倒れ込んだ。黒かった肌が元のオレンジ色へ戻っていき、尻尾の炎も赤いものへと変わった。口から溢れていた青い炎もなくなり、メガシンカが完全に解けたことを示していた。
雷パンチで飛ばされたダンデのリザードンも、土埃が収まるとフィールドに倒れ込んでおり、起き上がる気配がなかった。
「「リザードン!」」
とダンデは自身のリザードンの名前を呼ぶが、二匹はピクリとも反応を示さなかった。
しかし、公式のポケモンバトルに引き分けは存在しない。どちらかのポケモンが先に起き上がるかで勝敗が決まる。レフリーが10カウントを取り始めると、スタジアムの観客たちは倒れてしまったリザードンたちに声援を送った。