第10章 チャンピオンカップ
【ダンデ視点】
(まるでこのリザードンの青い炎のようだ)
ずっとその荒々しさを押さえつけていたのか、今はどのバトルでも見せたことがないほど彼女は活き活きしているように見えた。避けようと思えば避けられる技も、彼女は真っ向から向かってくる。
真っ直ぐに自分のポケモンを信じているその透き通った目の輝きに、彼女の強さの根源だと思った。ポケモンが好きだから旅を続けてきたと言った彼女のポケモンは、どれだけ大切にしているか見れば一目瞭然だ。
だから俺はもっと見たくなった。
(どうしてこれほど強いのか、もっと見せてほしい、もっと楽しんでほしい、もっと俺を楽しませてほしい!俺にもっと強くなれる可能性を示してほしいッ!!)
ダイロックの岩は彼女のリザードンを巻き込んで、どんどん倒れていく。もう逃げる時間も、防ぐ術もない----このまま巻き込まれて終わってしまうのか----そう思っていると、巨大な岩の中央から、段々と色が赤く変色し始めた。
赤色、そして黄色が中央に現れると、そこを中心に岩が盛り上がってきた。
(まさか----)
その盛り上がりは、風船のように破裂しそうな勢いで大きく膨らみ、ボコッとマグマが沸騰するような大きな音が聞こえた同時に、青い炎が穴から吹き出してきた。
その穴からヒュッと、青い炎の塊が素早い動きで飛び出してきた!
「っ…だから俺は、君とバトルがしたかった!」
避けることもなく、防ぐこともない、ただ真っ直ぐに俺を倒そうとするその強い心が、強さが、俺はずっと待っていた!!!
「雷パンチッ!!!!」
もう彼女のリザードンは、誰にも止められない。俺も防ぐ術が思いつかない。まさか岩を溶かしてくるなんて、こんな強引なバトルを誰が今までやってきただろうか。
ダイマックスをせずとも、メガシンカという別の形で対等に渡り合っている彼女は、本当にすごい人物だ。
(このバトルが終わったら----君が旅してきた話を全部聞かせてほしい)