第10章 チャンピオンカップ
ダンデは大きくなったボールをフィールドに投げ込むと、ボールから出てきたのは角や翼は炎を灯し、口からも炎が漏れ出していた。目つきは更に鋭くなり、出てきた瞬間の熱風で一瞬でフィールドは乾き、暑く感じた。
(これが…リザードンのキョダイマックス…)
は目を大きく開いてその姿に見惚れていた。まるで怪獣のように吠えるその姿でさえカッコよく見える。
(やっぱりリザードンはどんな姿になってもかっこいい…けど)
はすぐに意識をバトルに戻した。
「(ここはやっぱりクイックターンを使ってラグラージ戻すべきだけど)ラグラージ、いくよ!地震!!!」
「そうはいかない!リザードン、ダイソウゲン!!」
ソーラービームを覚えているおかげで、今のリザードンからは似つかわしくない植物の種が空からラグラージに降り注いだ。地面は大きく揺れ、もダンデも体のバランスを崩さないように耐え忍んだ。
一瞬まもるを使うべきかは悩んだが、それでも完全にダイマックスの技は防げない。
「ラグラージ!!」
ダイソウゲンの光が収まると、フィールドは緑の草が多い茂ってた。その緑多い茂草の中に、ピクリとも動かないラグラージが蹲っていた。
急いでレフリーが確認のためにフィールドに駆けつけ、ラグラージの様子を伺った。
「--ラグラージ、戦闘不能!」
レフリーの声がスタジアムに響くと、会場はまたしても大きく湧き上がった。「ダンデ!」と、ダンデの名前を連呼する声があちこちから聞こえた。
「戻って、ラグラージ」
は静かにラグラージをボールに戻した。ボールの中に戻ったラグラージを見て、は「ごめんね」と、小さく呟いた。
(まもるを使っても、きっと防ぎきれなかった…でもここまで耐え切ってくれてありがとう)
考えすぎると目が潤い出しそうで、は急いでボールを変えた。カタカタカタと、手の中で揺れているモンスターボールは、今にでも飛び出したいとばかりに揺れていた。
「----準備はいい?驚かしてあげよう、みんなを!」
はボールをフィールドに投げ込んだ。
「いけ、リザードン!!!」
ボールから姿を現れたもう一匹のリザードンは、口から大きく炎を吐き出して見せた。