第10章 チャンピオンカップ
【視点】
リザードンのソーラービームが、真っ直ぐラグラージに向かっていく。
ドクン、ドクン、ドクンと、技が成功するのか、失敗するのか、私の心臓が大きく鼓動していた。
ラグラージはすでに守る体制をとっているが、その周りに薄い壁のようなものは見えない----まさか、失敗したの?スタジアムの観客達の視線を一心に集めたバトルは、緊張に包まれていることを肌で感じる。
バシュウ----ソーラービームはラグラージに当たる数センチのところ、透明の壁に当たり、四方八方にビームが飛んでいった。
「ハハッ!ラグラージ、速攻ッ!!」
思わず笑い声が出ちゃったけど、ドクン、ドクンと、心臓がさっきより興奮で痛く鼓動していた。
ラグラージはまもるを解き、ソーラービームを出し切って一瞬硬直しているリザードンの所まで飛び出していった。
---これだ、このワクワク!バトルで起こる奇跡!運を身につけて勝機が見えた瞬間!!
「いっけぇぇええええ!!!!!」
一歩でも早くリザードンの元へ駆けていくラグラージは大きく飛び上がると、拳に力を込めて、リザードンの顔に思い切り殴りつけた。
「グッ…!!」
ラグラージの力強い拳を受けて、ダンデのリザードンは後ろへ数歩後ずさった。
「地震!!!」
チャンスだと思った。でもきっとそれが、私の最大のミスで、油断で、まだダンデという男をわかっていなかったんだ。
「リザードン!翼を羽ばたかせるんだッ!!!」
「バギュ!!!」
大きな翼がバサバサと大きくはためくと、砂埃が一気に舞い上がって、その砂煙は地震を起こそうとしているラグラージに襲いかかった。
「ラグゥ!?」
あともう少しで足が地面に触れる瞬間、砂埃や小さな石礫が顔に当たって、それを防ぐために手で顔を覆い隠してしまった。
バサ、バサ----その音を追いかけると、リザードンはすでに空中にいた。
「本当に君は強いな、!」
腕を組んだダンデが、不敵な笑みを浮かべて私に向かって話しかけてきた。
「だから俺も出し惜しみはしない!リザードンの本気を見せよう!キョダイマックスタイム!!」
ダンデはリザードンをボールに戻すと、そのボールは何倍もの大きなボールへと変化した。