第10章 チャンピオンカップ
チッと、ラグラージの頬をかすめた。ラグラージはギリギリでリザードンの攻撃を背をそらして避けると、右手を強く握り込み、リザードンに振りかぶった。
ラグラージの攻撃が当たる前に、リザードンは軽々と身を引いた。そして炎のついた尾を振って、ラグラージを吹き飛ばした。
(早い!)
その素早い動きに、は驚かされてばかりだった。吹き飛ばされたラグラージはフィールドに体を打ち付けたが、すぐに体制を整え、リザードンを睨みつけた。
フーッ、フーッと、ラグラージの背中から疲れとストレスが見え、は心が揺らいだ。
(このままじゃラグラージが…!リザードンと交代させるべきなのかな…)
また自分のために無理をして戦った手持ちのポケモン達を思い出すと、体が震えてしまいそうだった。が考えあぐねている間にも、リザードンの攻撃は止まない。
常に距離を積まれ、離れれば勢いよく飛んで地震を防がれる。
「(考えなくちゃ!このまま防戦一方なんて嫌っ!!!)ラグラージ、まもるッ!」
ガチン!と、リザードンの鋭い爪がラグラージの薄い壁に当たって弾き返した。
「待ってたぜ!リザードン、ソーラービームだ!!!」
バサッと翼を広げたリザードンは飛び上がり、口を開けるとキラキラしたエネルギーが集まり出した。
(連続でまもるを使用すればラグラージは…ッ!)
連続でまもるを使えば、失敗しやすくなる。冷凍ビームを使ったとしても、ソーラービームの威力には負けてしまう。岩陰に隠れてもエアスラッシュ以上の威力で、逆に岩陰は危ないかもしれない。
(信じなきゃ…私が信じないでどうするんだっ!!!)
下がりそうになった顔を、は勢いよく上げてラグラージを見据えた。すると、ラグラージは静かに後ろを振り向いて、を見ていた。
「いくよ、ラグラージ!連続でまもるッ!!!」
「ラグッ!!!」
ラグラージは待っていたとばかりにに応えると、ソーラービームに備えて体を丸めた。
「お願い!成功してッ!!!」
はギュウッと両手を祈るように握りしめてラグラージとリザードンの戦いを見ていた。