第10章 チャンピオンカップ
ようやく動きの鈍くなったドラパルトに冷凍ビームが当たり、全身を凍らすことに成功した。
『----ドラパルト、戦闘不能!』
氷漬けになったドラパルトは、目をしっかりと瞑っており、まるで眠っているようだった。
(どくどくで大分弱ってたはずなのに…さすがダンデのポケモン)
はラグラージの体を見ると、何発か受けきれなかったシャドーボールに当たって傷付いていた。
「(でも追い詰めた…)気を抜かないでいくよ、ラグラージ!」
「ラグ!」
「よく頑張ったぜ」と、ダンデはドラパルトをボールに戻した。ダンデは一度顔を伏せると、帽子のつばで顔が全く見えなくなった。
「----っ!」
そして、ダンデはスッと顔を上げると、先ほどまでバトルを楽しんで笑っていた顔はなく、真剣な眼差しでを見た。ゾクっとは一瞬体が震え、足を一歩後ろへ引いた。
「まだまだチャンピオンタイムは終わらない!終わらせないッ!!」
ダンデは新たなモンスターボールを手に持つと、フィールドにおおきく振りかぶって投げ入れた。スタジアムの観客達も緊張しているのか、張り詰めた空気が漂っていた。
「バギュア!!!!」
ついにダンデの相棒、リザードンが姿を見せると、スタジアムは観客の声でまた満たされた。
「いくぜ、リザードン!俺たちの強さを見せる時だ!」
「グルルルルル」
ダンデとリザードンの気迫に、は息を呑んだ。
(本気だ…)
は直感でそう思った。心臓が震えるような感覚がして、無意識には心臓の上にある服に手を当てて、ギュッと握り込んだ。
(キョダイマックスをされたらラグラージに勝ち目はないけど…向こうもキョダイマックスは温存したいはず)
隙のないダンデとリザードンに、はどうバトルするか考えた。相性が如何にラグラージの方が有利でも、先程見たダンデの本気の目を見て、気を抜かないだけでは駄目だと本能が告げていた。
ラグラージもそれを感じているのか、さっきから警戒を全く解かない。
「ラグラージ、冷凍ビーム!!!
「大文字で跳ね返せ、リザードン!!!」