第10章 チャンピオンカップ
ハァ、ハァと、乱していた息は、段々苦しそうな息遣いへと変わっていた。
「まったく----君のポケモン達には驚かされてばかりだ!」
「…やっと気が付きました?」
「少し変だとは思っていた、あのドラピオンの最後の攻撃は噛み砕くではなく、どくどくの牙だったんだろ」
確信を持ってダンデはに言うと、は静かに口角を上げた。
「なら、残された時間は少ないな…ドラパルト」
「ルァァ…」
「まだまだだな、俺も…まだいけるか?」
「ルパ!!!」
ダンデの問いに、ドラパルトは力強く鳴いた。
「見せてやろうぜ!お前の強さを!!」
ダンデはドラパルトに力強く声をかけ、そして次の手を指示した。
『ドラパルト、シャドーボールだ!!!』
テレビに映ったのは、ダンデがドラパルトにシャドーボールを打つよう指示をしていた。
「負けるな兄貴!!ドラパルト頑張ってくれ〜!!!」
「グメー!!」
そのテレビに釘付けになって声援を飛ばしているのは、ダンデとよく似た顔立ちの少年ホップと、その少年の腕の中にいるのは相棒のウールー。
パッとテレビの画面はとラグラージに変わると、ラグラージの口から冷凍ビームが放たれた。
「避けるんだぞドラパルト!!」
ホップはヒヤヒヤしながらも、必死にドラパルトの応援をした。
(兄貴も強いけど、さんも負けないくらい強いんだぞ)
確実にドラパルトを追い込んでいくとラグラージのバトルの技術に、ホップは腕の中にいるウールーをギュッと抱きしめた。
『ラグラージの冷凍ビームが炸裂だ!!!ドラパルト、このまま終わってしまうのか?!』
テレビの実況からは、視聴者を惹きつけるような声が流れている。
(追い詰められてるのに兄貴…なんか楽しそうだ…)
戦況はダンデの方が明らかに分が悪いはずなのに、むしろこの状況を楽しんでいるような気がした。
「兄貴は絶対勝つ!そうだろ、ウールー!」
「グメェエ!」
ウールーはそうだというように、ホップの腕の中で頷いてみせた。
『あぁ!ラグラージの冷凍ビームがドラパルト直撃!!!これはヤバいですよ……判定は、戦闘不能!チャンピオン、ついに追い詰められましたっ!!チャンピオン、どうする!!!!』