第10章 チャンピオンカップ

「ドラピオン、行くよ！」

　ズン！と、ボールから出てきたドラピオンは自慢の尻尾を震わせ、に振り返った。は目があったドラピオンにニッと笑いかけると、ドラピオンは顔を引き締めてドラパルトを見据えた。


「…」


　ドラピオンは久々にバトル中に笑ったを見て、ようやく目の前にいるダンデとドラパルトが強敵が現れたと確信した。フィールドはこれまでのバトルのせいで、どれだけ激しい戦闘があったかが窺えた。


「ドラァアア！！！」


　ドラピオンは大きく吠えると、ドラパルトに向かって突進した。
　それが開戦の合図になり、「十万ボルト！」と、ダンデがドラパルトに指示を送った。

「クロスポイズン！」


　バリバリと、眩しい光がドラパルトから放たれると、ドラピオンは動きを一度止めると、腕をクロスさせた。その腕は毒々しい色に変わると、放たれた十万ボルトにぶつける様に放った。


　ドン！と、技同士がぶつかり合うと、またしても黒い煙が上がり、スタジアムにいる観客達が一斉に声が上がった。


「ならこれはどうだ、火炎放射だ！」

「ドラピオン、岩石封じ！」


　ドラピオンは地割れだらけのフィールドに両手を突き刺すと、自分よりも大きな岩石を持ち上げ、迫る火炎放射の前に投げつけた。

「悪いがスピード不足だ！ドラゴンアロー！」

　ドラパルトは、自慢の速さですでにドラピオンの後ろへ回り込んでいた。鋭く睨みつけたドラピオンに狙いを定めた。

「後ろに向かってベノムショック！」

「何？！」

　前に向いていたドラピオンの顔は、突然グルンと、180度回った。目が合ったドラパルトは、慌ててドラゴンアローを打ち込んだ。毒々しい唾液をドラピオンは、向かってくるドラメシアたちに吐きかけた。

　ドドン！と、爆発が二発起こると、ドラパルトは慌ててドラピオンから距離をとった。ベチャっと、フィールドにはベノムショックを受けた二体のドラメシア達がグルグルと目を回していた。

「ドラメシア達が！」

「これでドラゴンアローは打てないですね、ダンデさん」

「ああ－－－－だが、俺のドラパルトはまだまだいけるぜ！」

「ルッパァアアア！！！」

　ドラパルトはダンデの声に応えるように、力強く鳴いた。