第10章 チャンピオンカップ
岩が突き出てくるその瞬間、ラグラージはその真上に飛び乗ったと同時に、突き出された岩の力と、自身の脚力で大きく飛び上がった。空中からはドサイドンの姿はよく見えた。
「冷凍ビーム!!!」
ラグラージはドサイドンに向けて冷凍ビームを放つと、顔を守るように腕で塞いでいるドサイドンに直撃した。氷漬けにはならなかったものの、効果抜群の技を受けたドサイドンは、そのまま後ろへ倒れ込んだ。
「----ドサイドン、戦闘不能!」
レフリーの判定で、ドサイドンが戦闘不能の知らせを受けると、またしても会場は大きく賑わった。「ありがとうな、ドサイドン」、とダンデはドサイドンをボールに戻した。
(ラグラージに少しでもダメージを与えたかったが、やっぱり駄目だな----でも、いい目だ)
真剣な目のが、バトルに、自分に集中してくれているとわかると、ダンデはますますワクワクしてきた。もう油断を見せまいと、顔つきが変わったに、どこからか力がみなぎってくるような気がした。
「悪いが君のラグラージは、ここで退場してもらいたい」
「!」
「いけ、バリコオル!」
ダンデが次に繰り出したのは、タタン、タタタンとリズムのいいタップダンスをしているバリコオルだった。
「バリコオル、フリーズドライ!」
「岩陰に隠れてラグラージ!」
バリコオルのフリーズドライで、岩陰に隠れたラグラージの周りは一瞬で凍りついたが、ラグラージに技は当たらずに終わった。
「クイックターン!」
フリーズドライを放ち終わったバリコオルに、ラグラージは勢いよく突っ込んだ。ドシン!、とラグラージのクイックターンがバリコオルに当たると、ラグラージはボールの中に素早く戻っていった。
「--簡単に、この子は落とさせない」
静かには言うと、新たなモンスターボールを手に取った。
「ハッサム!頑張って!」
スタジアムのライトで、鈍い赤色の鋼のボディが光った。スッと両の鋏を相手に向け、いつでも戦える姿勢を見せた。
「バレットパンチ!!!」
羽で飛び上がったハッサムは、一気にバリコオルに距離を詰め、その重たい鋏でバリコオルを殴りつけた。