第10章 チャンピオンカップ

【視点】


　まだ手持ちの一体目がやられただけなのに、余裕な顔をしているダンデを見ていると、沸々と勝ちたい気持ちが湧き上がってきた。容赦のないバトルに、本当に私を叩き潰すんだと真実味が増してきた。


「ドラパルト、火炎放射だ！」

「メタグロス、雷パンチ！」


　ドラパルトから吐き出される炎を、メタグロスの雷パンチでなんとか防ぐ。直撃はなんとしても避けなくちゃいけない！

「シャドーボール！！」

「サイコキネシスで受け止めて！」

　放たれたシャドボールを、メタグロスのサイコキネシスで動きを止めた。

「お返しだよ！！」

　メタグロスは動きが遅いけど、サイコキネシスは強く扱えるポケモン。私のメタグロスなら、この程度の技なら受け止めて返すことができる！

　シャドーボールを完全にコントロール下においたメタグロスは、サイコキネシスで動かして、ドラパルトに向けて放った。

「十万ボルトだ！」

　もちろん返したシャドーボールだけじゃ、ドラパルトを倒せるとは思ってない。十万ボルトを受けて破裂したシャドーボールは囮。


「今だ！サイコキネシス！！！」


　一瞬だけ動きが止まったドラパルトをメタグロスは捉えると、キン、とサイコキネシスでドラパルトを捕まえた。空中で不自然に止まったドラパルトに、ごめんと思いながら、メタグロスは一気に地面に叩きつけた。


（効果抜群のはず…だけど）


　ドラパルトは傷付きながらも、浮き上がった。


「戻れ、ドラパルト」

「！」


　私の予想を反して、ダンデはドラパルトをボールに戻した。


「今は休んでくれ、ドラパルト－－－－ドサイドン、思い知らせてやろう」

　ドラパルトの交代で出したのは、メタグロスと同じ重量のあるドサイドンだった。岩の体に、オレンジ色のプロテクターのようなものが体につき、鋭いツノと、ドリルを持っているポケモンだ。


「これからだ、！もっと見せてくれ、君の強さを！」

「っ…言われなくたって！メタグロス！コメットパンチ！！」

「ドサイドン、ヒートスタンプ！！」


　その時、私は気が付かなかった。わずかに私が笑っていたなんて。