第10章 チャンピオンカップ
ガシャン----と、倒れ込んだギルガルドの陰から、ゲンガーはゆっくりと出ると、ニヤニヤとギルガルドを見下ろした。
「----ギルガルド、戦闘ふ……!」
レフリーが旗を上げて、ギルガルドの負けを言い渡そうとすると、ゆっくりとだが両手を付いたギルガルドが体を起こした。ギルガルドは今にも飛びそうな意識をなんとか繋ぎ止めようと、強くゲンガーを睨み付けた。
「ギルガルド…よく耐えたな」
「----悪の波動」
「キングシールド!」
瀕死に近いギルガルドに、は容赦無くゲンガーに指示を出した。ブレイドフォルムから、シールドフォルムに変わったギルガルドは、悪の波動を防いだ。
「マジカルシャイン!」
「キングシールド!」
次は眩しい光が放たれ、またしてもキングシールドでそれを防ぐことができた。
「--3回目は防げますか、ダンデさん?」
「いいや、俺は攻めるぜ!行くぞ、ギルガルド!!!シャドーボールだ!」
「ゲンガー、こっちもシャドーボール!」
ゲンガーとギルガルドは、それぞれに大きな紫色の玉を作り出すと、相手に向かって放った。放たれたシャドーボールは、ゲンガーとギルガルドの元から離れてもますます大きく育ち、そしてお互いがぶつかり合うと、ドン!、と大きな音を立てて爆発した。
「シャドークロー!!!」
ただでさえ瀕死に近いギルガルドに、爆風を耐えるのもやっとのところ、煙が晴れかけた瞬間に、ゲンガーのシャドークローがギルガルドを引き裂いた。
「ギルガルド!!!」
ダンデは声を上げた。ギルガルドはフラフラする体を後退しながらも、自分を切り裂いたゲンガーをまだ睨みつけていた。----そして、ガチャン、と後ろに倒れ込んだギルガルドは、立ち上がることはなかった。
『--ギルガルド、戦闘不能!』
しっかりと確認したレフリーがギルガルドの負けを言い渡すと、すっかり真剣にバトルを見ていた観客たちの歓声が一気に戻ってきた。
「あいつのギルガルドをここまで捩じ伏せるのかよ…」
キバナは青い顔で静かにバトルを見ていた。