第10章 チャンピオンカップ
肩を回し、手首の動きを確認したダンデは、その場で小さく跳んだ。パシパシ、と顔を叩き、そしていつも身に纏っているマントに手をかけた。
手にかけたマントを大きく脱ぎ捨てると、ダンデも持っていたモンスターボールをフィールドに投げ込んだ。
二人のモンスターボールから出てきたのは、剣を思わせるボディと、片手には盾を持ったポケモンのギルガルド。そして赤い目を怪しく光らせ、ニヤリと笑って現れたポケモンはゲンガー。
『お待たせいたしました!それではこれより、チャンピオン ダンデと、チャレンジャー レイズの公式試合を始めます!----始めっ!!!』
レフリーの開始の合図で、とダンデは大きく声を張り上げた。
「ギルガルド、シャドーボールだ!!!」
「ゲンガー、悪の波動!!!」
互いに出した技がフィールドのちょうど真ん中で当たると、カッと一瞬大きく光ると、その場で大きく爆発した。ついに始まったポケモンバトルに、会場の歓声が湧きだった。しかしとダンデにはもう歓声の声も届かないのか、真剣な目であ互いを見据え合っていた。
「ゲンガー、速攻で決めるよ!シャドークロー!!」
シャドーボールと悪の波動が当たった場所にはまだ黒い煙が立ち込めていたが、浮き上がったゲンガーが突っ込み、ギルガルドへ急速に近付いた。
「キングシールドで防ぐんだ!」
防御体制を取ったギルガルドに、ゲンガーの怪しく尖った手がギルガルドのキングシールドを切り裂いた----が、攻撃は通らず、ギルガルドはピンピンしている。
「そのまま連続でシャドークロー!!!」
キン!と耳に響く高い音が響く中、ギルガルドのキングシールドは解けないままだった。むしろシャドークローをしているゲンガーの攻撃はみるみる弱くなっている。
(--キングシールドを直接攻撃すれば攻撃力が落ちることは、彼女も重々承知のはずだ…だが連続でキングシールドを使用すれば失敗する確率が増す。狙いは----俺のギルガルドを強制的にブレードフォルムにして技を当てること)
ダンデはフッと微笑が口角に浮かんだ。
見据えた先のいるは、あの日バトルをした人物とは全く違い、全く恐怖の色が見えない。