第10章 チャンピオンカップ
日が沈み、暗い空に花火がいくつも打ち上がった。
『お待たせしました、みなさま!今年、もっとも熱いバトルが見られるチャンピオンカップへようそこ!!』
花火が打ち終わると、シュートスタジアム内に響く声は、ローズのものだ。シュートスタジアムのバトルコートに颯爽と現れ、会場の観客を見回しながら、反応を見ている様だった。
『今回のチャンピオンカップは、我らガラルの選手ではなく、はるか遠くからやってきたカントー地方のトレーナー!彼女は今年、我々の想像をはるかに超える力でジムリーダーたちを圧倒してきました!』
会場の歓声、そして熱気がさらに高まると、ローズも高揚しているのか、はたまたエンターテイメントのために作っているのかわからないが、彼はにっこりと笑顔で会場を見回した。
『さぁ、まずは我らのガラル最強のポケモントレーナーに登場して頂きましょう!チャンピオン、ダンデ!!!』
ローズが腕を突き上げると、バトルコート内にあらかじめ仕込んでいた花火と爆竹が一斉に上がり、立ち上がった煙の中から、ダンデの姿が現れた。
会場は一気に湧き上がった。
『そして』
ダンデがバトルフィールドの真ん中に立っていると、そこへ向かうようにがスタジアムの入り口から現れ、歩いていく。
『今宵、無敵のチャンピオンに挑む挑戦者のお出ましです!選手!!』
ローズがに向かって手を振り上げると、またしても花火と爆竹が打ち上がり、場内はますます盛り上がる一方だった。
ザッとダンデの前までやってくると、場内は歓声で包まれているというのに、周りの音さえももう気にならなくなった。
ダンデの太陽のような、黄金の瞳がを捉えると、は震えそうになる体を抑えるように両手を握りしめた。
「----怖いか?」
ダンデに尋ねられると、は首を小さく振った。
「君のバトルを見るたびに思い描いてた」
黄金の瞳がスッと細められるようにダンデが微笑むと、背筋にゾクっと緊張が走った。
「どうすれば君の全力を出せるか----そしてその全力の君を圧倒的に叩き潰すか、俺はずっと、この日を待ってたぜ」
ピリピリと感じるダンデの威圧感に、は真っ直ぐダンデを見据えた。