第9章 遠い存在
シュートシティを半分も回り切らないうちに、ダンデはホテルの方へ向かうようリザードンに指示をした。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、ホテルが近付くと、自然と二人は静かになった。
流石に正面玄関に降りるわけにはいかず、すぐホテルの近くの目立たない場所に降り立った。リザードンから先に降りたダンデは、に手を差し伸べた。
「お手をどうぞ、お嬢さん」
「今更紳士ぶるんですか?」
はクスッと笑った。
「大丈夫です、自分で降りられますから」
リザードンが少し身をかがめてくれたおかげで、簡単に地面に降り立って見せると、ダンデはやれやれと笑っていたけど、呆れてもいた。
「ありがとう、リザードン!すっごく楽しかったよ!」
「バギュ!」
「そのいじっぱりは治りそうにないな」
「自立してますから」
「はは、そうだった」
釣られてもふふふと笑い声を漏らした。
「…ありがとうございます、ダンデさん…明日は……」
は少し緊張しながら話し出したが、明日のことを話そうとすると、なんて言えばいいのか分からず、歯切れの悪いところで言葉が詰まってしまった。
「待つぜ、君が来るまで」
言葉に詰まってしまったの代わりに、ダンデが言葉を続けてくれた。
「俺の全力をかけて君を倒す!だからも全力で俺を倒しに来てくれ!」
「ダンデさん…」
「また明日会おう、」
「…うん、また明日…」
ホテルの入り口に入るまで見守っているとダンデに言われ、は素直にお礼を述べてホテルに向かって走った。入り口について、ダンデのいた方角を振り返って手を振った。
そしてがホテルの中に入るのを確認すると、ダンデはリザードンの背中に乗った。
「俺たちも帰るか」
「バギュ〜」
リザードンが大きな欠伸をすると、ダンデも釣られて欠伸をした。
----そして、明日はやって来た。
それぞれの思いを抱えながら、はベッドの上に並べた六つのモンスターボールを見つめた。