第9章 遠い存在
リザードンはいつの間にか、かなりの上空高く飛んでいた。シュートシティのあちこちの明かりが、色とりどりの光が宝石のように輝いていた。さっきまでいたローズタワーもその中にあり、飛び出してきたホテルも見えた。
「すごいです、ダンデさん!シュートシティってこんなにキラキラしてるんですね!」
「ああ、そうだろ!時々帰る前に見に来るんだ!」
そしてローズタワーの隣にはシュートスタジアムがあり、はドキッとした。
(明日は…)
そっと後ろを振り返ると、ダンデもスタジアムの方を見ていた。何を考えているのかわからなかったが、真剣な顔をしていた。
(変な感じ…明日ダンデとバトルなんて…こんなに…)
楽しいのに、なのに心のどこかで目を覚ませと言われたように、高揚した気分が落ち着いていく。
「?」
ジッと見過ぎていたせいで、ダンデに気付かれてしまった。は慌てて前を見て、「なんでもないです」と、言った。
(明日が来なかったらいいな…なんて…)
「また来よう、ここへ」
「へ?」
慌てて後ろを振り返ると、ダンデが微笑んでいた。
「君が望めば、いつだって」
は目を見開いてダンデを見た。は思った、きっとこの瞬間は一生忘れないだろうと。ゆっくりと顔を前に戻すと、はボソッと呟いた。
「…人たらし//」
「ん?なんて言ったんだ?」
「…何も」
このまま一緒にいると、明日を迎える前に心臓が持ちそうな気がしないと、はこっそり思った。